できれば税金は多く払いたくないものです。
ひとり社長は、役員社宅制度を使って大きく節税ができる可能性があります。
この記事では、役員社宅のおトクな制度の解説、節税効果のシミュレーションを行っています。

今回はひとり社長を想定して解説しています。

役員社宅制度とは
役員社宅とは、会社が役員(社長も含みます)のために貸し出す住宅のことです。
役員(以下社長といいます)は会社にとって貴重な財産です。その社長の生活を守るための支出なので、経費にすることができます。
ただし、一定の要件があります。
自宅を役員社宅とするための要件
社長が自宅を役員社宅とするための要件は以下のとおりです。
・会社名義で借りる
・会社のお金から家賃を払う
・社長は社宅に住む
「社宅」なのであくまでも、会社が借りている物件である必要があります。
ここでこの記事で最も大事なことをお伝えします。
自宅を役員社宅として節税をするためには、「社長が一定額の家賃を会社に払うこと」が必要です。
これを自己負担額(賃料相当額)といいます。
次の章では自己負担額はいったいいくらなのか。自己負担額の計算方法について解説します。
役員社宅の家賃をいくら自己負担すべきか
自己負担額の設定方法2つ
一般的には会社が契約している社宅家賃の50%を自己負担するのが安心といわれています。
・社長の自己負担額:20万円×50%=10万円
・会社の負担額:20万円-10万円=10万円(この金額が経費になります)
この方法の場合は、計算が楽ということと、控えめに経費にすることであとから税務署に否認されることはないでしょう。
しかし、国が定めている計算式に従って計算すると、より節税効果が高いです。
具体的には、社宅家賃の10%~30%程度の自己負担で済みます。
・社長の自己負担額:20万円×10%=2万円
・会社の負担額:20万円-2万円=18万円(この金額が経費になります)
この方法の場合は、経費を多く計上できるため節税効果は高いですが、計算が複雑です。
次の章で自己負担割合(国が定めている方法)の計算方法を解説します。
自己負担額の計算方法
まず、自己負担額は「小規模宅地」と「それ以外」で計算方法が変わります。
小規模宅地の要件は以下のとおりです。
・法定耐用年数が30年以下の建物の場合:床面積が132㎡以下
・法定耐用年数が30年以下の建物の場合:床面積が99㎡以下

多くの自宅は「小規模宅地」に該当するため、この記事では小規模宅地の場合のみ解説しますね。
小規模宅地の場合の計算方法は、以下の①~③を合計した金額です。
①建物の価値(課税標準額)×12%
②土地の価値(課税標準額)×0.22%
③建物の総床面積(坪換算)×12円
※詳しい計算方法はこちら
つまり、社宅の価値と大きさで決まるわけです。
この計算方法が面倒なところは、建物・土地の価値(課税標準額)を調べなければならないところですが、社宅がある場所の役所で入手できます。
社宅を少しでも多く経費にしたい方がやるべきこと
役員社宅制度を使って、少しでも大きく節税したい方は、「国が定める方法」で計算をしてその根拠を保存しておくことをおススメします。
やるべきことはたった2つです。
①社宅の課税証明書を発行する。(契約書と本人確認書類が必要)
②課税証明書を税理士に渡して計算してもらう。(ご自身で計算してもOK)
注意点
基本的に社長が住んでいる以上、社宅として経費計上が認められますが、豪華住宅などは対象にならないので注意が必要です。
具体的には、総面積が240㎡を超えるものの中で、いろいろな要素を総合的に判断されます。(華美など)
役員社宅による節税額をシミュレーションしてみた
「家賃20万円」「自己負担額10%」の場合を例にシミュレーションしていきます。
・社宅を活用しない場合:20万円×12ヶ月=240万円(全額自己負担)
・社宅を活用した場合:2万円×12ヶ月=24万円(10%自己負担)
→年間216万円手残り増加
・経費:240万円×90%=216万円
・雑収入:24万円(社長から受け取る家賃)
→利益が192万円減少(利益:24万円-216万円=△192万円)
→法人税額が63万円節税(△192万円×法人税率33%=△65万円)

社長側・会社側共におトクな制度ということがわかりますね。
住宅手当との違い
社宅と似たような言葉で、「住宅手当」がありますが、似て非なるものです。
社宅は会社が借りる住宅、住宅手当は個人が借りる住宅の手当金です。
「手当」と名前があるとおり、残業手当と同様に税金・社会保険が課されます。
社宅のデメリットを一つ上げるとすれば、従業員社宅の場合には、「会社側の負担が増える」「退職時に面倒」という問題はありますが、ご自身が社宅とする分にはこの問題はないでしょう。
シミュレーションで示したとおり、役員社宅による節税の効果は絶大です。
まだやられていない方は、ぜひやっていただきたいです。