必要経費の判断基準を法律・裁判例をもとに解説。

業務と少しでも関連していればすべて経費にできるのか。。
プライベートに近い経費でも「仕事の一環」ですと言い張れば経費にできるのか。
法律や裁判例をみながら解説していきます。

目次

理由をつければ何でも経費になるのか

理由をつければ何でも経費になるのかについての答えはNOです。
経費になるための要件は、「関連性」「必要性」「証拠要件」の3要件が必要です。(特に「関連性」「直接性」が重要です。)

「関連性要件」・・・業務に関連するものか、プライベートでないか
「必要性要件」・・・業務に必要なものか、必要な金額か。(妥当な金額か)
「証拠要件」・・・支出が実際に発生している証拠があること

つまり、業務に関連していなければそもそも経費にはなりませんが、関連していても、その費用が必要かどうかが見られます。

法律や、裁判例を例に、実際どんな経費が認められないのかを見ていきます。

必要経費の判断基準

一般的に「経費」と言われているもので、法律上は「必要経費」と書かれています。
個人事業主では、プライベートと仕事の境界があいまいになるため、この経費になるのかならないのかが問題になってきます。

所得税法37条1項「業務との関連性があること」

必要経費は、「所得税法37条1項」に規定されています。

所得税法37条1項

必要経費に算入すべき金額は・・・これらの所得の総収入金額に係る売上原価(①)その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額(②)及びその年における販売費、一般管理費(③)その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額(④)とする。

つまり、必要経費になるのは以下の4つです。
①売上に対応する売上原価(材料費など)
②売上を得るために直接要した費用(配送料など売るためのコスト)
③販売、一般管理費
④所得を生ずべき業務に生じた費用

もっとわかりやすくいうと
・売上に直結する費用(①と②)
・売上に関連する費用(③と④)

①②については、売上に直結するので明確ですが、③④(接待交際費など)については、売上に貢献してるかどうかがあいまいです。

この法律では、必要経費にするには、業務との関連がある費用、つまり「関連性」が必要【関連性要件】であると規定されているのです。

裁判例「通常要する費用であること」

法律だけでは、ざっくりすぎて経費かどうかの判断が難しいです。
そのため、法律を補完するものとして、裁判例をみていく必要があります。
※特に最高裁判所の裁判例は「判例」と呼ばれ、法律と同じ効果をもちます。

●最高裁昭和53年4月24日判決(過大な交際費が認められなかった裁判)
・判決概要
「事業の遂行上、通常必要と認められる範囲を超える支出については、たとえ業務との関連性があったとしても、損金(必要経費)とは認められない。」
この判例により、業務の関連性だけでは不十分で、「通常必要な範囲内であること」も要件であると考えられるようになった。【必要性要件】

●東京地裁平成9年10月29日判決(過大な広告宣伝費が認められなかった裁判)
・判決概要
「その業務の性質、規模、売上との関係において、社会通念上、通常必要とされる金額を超える支出は、事業の遂行上の支出とは認められない。」
この判例により、「事業規模・売上に対して過大な支出は業務に関連していても経費として認められない」という原則が確立した。

●東京高等裁判所平成24年9月19日判(弁護士会の交際費が認められた裁判)
・判決概要
「弁護士会や日弁連の役員活動は、弁護士個人の業務遂行に密接に関連し、その活動に伴う支出が業務遂行上必要である場合には、必要経費に該当する。」
この判例により、業務関連性がある支出で、その支出が業務遂行上必要であることが具体的に証明されれば、経費として認められると示された。【証拠要件】

まとめると・・・

「関連性」だけでは不十分で、業務に「必要な支出」で、売上規模や一般的な水準と比較して「必要な分」だけしか、経費として認められず、さらにその根拠を証明できる必要があるというわけです。

まとめ

必要経費の要件は以下のとおりです。
・業務に関連しているか【関連性要件】
・業務に必要か、必要な分か【必要性要件】
・証明はできるか【証拠要件】

特に必要かどうか、必要な分か【必要性要件】の部分は見逃しがちです。
経費だから、「贅沢しちゃうぞ」では、税務的にも資金繰り的にもよくありません。

最後の判断は自分が「仕事だ」と心から思えるかどうかです。(判断が迷うものは、自分で専門家から学ぶか、税理士に委ねましょう。)
やましいと感じるものは、たいてい経費の要件を満たしていない場合が多いです。(家族との飲食代や美容代を経費にしたがったり)
まずは、一見プライベートと思い込んでいるもの(自宅家賃など)でも、仕事で使っている分は経費にできたりするので、できる節税からやっていきましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

独立税理士を目指す税法免除大学院生。
2~3年後に独立予定。

税金とお金の知識をわかりやすく解説することを心がけています!
税法免除大学院で学んでいることについても発信しています。

『得意なこと』・・・お金のこと、効率化、シミュレーション

目次